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小麦アレルギーについて

小麦は世界でもっとも多く栽培されている穀物であり、また、言うまでもなく小麦粉は広く世界中で消費されています。パンやクッキー、麺といった多種類のおいしい加工品を口にしない日はないと言っても過言ではありません。
 
1.小麦によるアレルギー症状
不幸にも小麦を摂取した場合に起こるアレルギー症状は、少なくとも次の4種類に分けられます。それらは、
  A. アトピー性皮膚炎などを主症状とする、いわゆる食事性アレルギー、
  B. baker's asthma といって、製粉あるいは製パン業者にしばしばみられる喘息、
  C. セリアック病といって、欧米人に見られる腸炎、
  D. 前回ご紹介したアナフィラキシー(小麦依存性かつ運動誘発性のもの)
です。
 
2.小麦粉中のタンパク質
アレルギーを引き起こすのは、小麦粉の中に含まれる様々な成分のうち、タンパク質です。小麦粉にはおおよそ10%程度のタンパク質が含まれています。ちなみに、残りの大部分はデンプンです。
小麦タンパク質は、生理食塩水に溶ける(=可溶な)タンパク質と、このような塩溶液には溶けない(=不溶な)タンパク質との2つに大別されます(その存在比は、塩可溶タンパク質:塩不溶タンパク質=約1:4)。
さらに、塩可溶タンパク質は、水に可溶な「アルブミン」と、水には不溶ですが塩溶液には可溶な「グロブリン」とに分けられます。これらをまとめて、「アルブミン/グロブリン画分」と呼ばれることも多いです。
一方、塩不溶タンパク質は、含水アルコール(例えば70%エタノールなど)あるいは薄い酸に可溶な「グリアジン」、尿素などのタンパク変性剤に溶ける「グルテニン」、およびこれら全てに全く溶けない「残渣タンパク質」とに分けられます。
一般的によく用いられる言葉である「グルテン」というのは、上のうち塩不溶タンパク質にほぼ近いものです。小麦粉を水と捏ねるとできる塊がグルテンと呼ばれますが、物質としてはグリアジンとグルテニンとから成っています。
 
3.小麦粉中の何が(=どんなタンパク質が)アレルギーを引き起こすのでしょうか?
先に述べた症状のうち、少なくともAのアトピー性皮膚炎、Bのセリアック病、およびDの運動誘発性アナフィラキシーについては、グルテンがアレルギーの原因となっています。このうちAのアトピー性皮膚炎の場合には、グルテンのみならず、塩可溶タンパク質も原因になる場合が多いです。Cのbaker's asthma(喘息)は、塩可溶タンパク質が原因とされています。
( 2004年 8月記)



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